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アンサンブルパワー炸裂のラッセル監督最新映画「世界にひとつのプレイブック」Silver Linings Playbook

2012.11.23

今をときめく二人のアクター、「ハングオーバー」でおなじみ超セクシー&イケメン俳優のブラッドリー・クーパー/Bradley Cooperと22歳にしてすでにオスカー候補も経験済み実力派女優、ジェニファー・ローレンス/ Jennifer Lawrenceが共演している注目映画「シルバーライニングスプレイブック/ Silver Linings Playbook」。デビットOラッセル/ David O Russell監督は2010年「ファイター」以来。監督の魔法にかかり、単なるラブコメでは終わらないディーブな人間模様が描かれた社会派ラブストーリーになっています。脇役はロバート・デニーロ、クリス・タッカー、ジャッキー・ウィーヴァーと超豪華です!

「ファイター」同様、ラッセル監督の凄みは、アンサンブルのパワー。登場人物は、時として主役が脇役に、脇役が主役になって、そうすることで常に捉えているのは人間を取り巻く社会全体。一人の人間の問題点に対して、家族や社会がどう関わっているかに重点を置くことで、映画を単なるセレブの集合体として完成させることなく、メッセージ性の強い作品にしています。他人の話のはずなのに、気付けば心をえぐられるような身につまされる台詞ばかり。試写後のQ&Aに登場した監督の言葉、「自分の作品を通して、みんなが同じ場所で生きているんだということを描きたい。みんなそれぞれ問題があって、クレイジーなこともたくさん起こるけど、すべてはIt’s OK!なんだよ、ってことを伝えたい。」が心にほっこりと残りました。

 

ラッセル監督は、インプロ(即興)をとても大切にするそうです。というより、その場で自然発生的に生まれたものをしっかりキャッチすることに重点をおいています。それは、クローズアップの俳優の皺の動きひとつひとつにしっかり焦点を合わせているところからも伺えます。ちなみにこの作品の見所は、ロバート・デ・ニーロが、寝ている息子(ブラッドリー)に語りかけるシーン。そこで流すデニーロの涙は偶然の産物。台本にあったものでも、監督がアドバイスしたものでもなく、その場でただ起きたこと。それは演技的オーガニックなのですが、それを未だにさらっとやってのけるデニーロはやはりただものじゃない!本物の偉大なる俳優だなぁと改めて感動しました。デニーロXブラッドリーの屋根裏シーンは要チェック。近年年老いた親父が続くデニーロの作品の中では、最も生き生きとキャラクターを演じていて、ラッセル監督との相性の良さを感じました。

 

オファーを次々にこなす監督と違って、ラッセル監督はひとつに何年もの歳月をかけるタイプ。「本当に心の奥から生まれたものであること、常にリアルであること、を心がけて取りかかりたいんだ。そして自分の息子に見せたいかどうか、も作品を作る上で重要なポイントにしているよ。」ラッセル監督、「ファイター」の時よりもファンになりました。ブラッドリー・クーパーは「ハングオーバー」ではわからなかったけど、ひぇぇ、、凄い俳優ですねぇ。技術プラス、感情の出し入れやキャラクター構築がすごく王道なので、個人的にはクリスチャン・ベールよりも役も器も幅広い気がしました。実はけっこう稀にみる大物タイプ。あと数年で世界的大俳優になりますね。

 

2012年9月のトロント国際映画祭ではピープルズチョイスアワードを受賞。全米では2012年11月より公開されています。作品、監督、主演男優、主演女優、助演男優、助演女優、スクリーンプレイでオスカーノミネートにかなり期待が出来る作品です。日本公開は未定。

 

余談ですが、びっくりしたのが、この映画のオーディションはスカイプで行ったそう。主役のジェニファー・ローレンスでさえ、スカイプオーディションをして、最終的に候補で挙がっていた大物女優3人のなかから勝ち取ったとか。

 

<<ス トーリー>> 男(ブラッドリー)は、妻がバスルームで知人とセックスしているのを目撃し、その知人を半殺しにしたことでパイポーラー(躁うつ病)と診断される。精神病院での8ヶ月間の生活から出て来たばかりで、妻は離婚して男から逃げたのに、その現実を受け入れられずよりを戻すために前向きに頑張ろうともがいている。そんな時、突然の事故で夫を亡くした謎の女(ジェニファー)に出逢う。女は、元妻との復縁に協力する代わりにと交換条件を出し、二人はお互いの目的達成のために進んでいくが、、、、。二人が過去を克服しながら、自分の弱さに直面し、少しずつ相手や家族、社会を受け入れていくというもの。つまりラブコメは結果論で、軸にはどっしりとヒューマンドラマが流れている作品です。ちなみに、このブログを読んだ方から、え?シリアス映画?と言われたのですが、基本コメディー。思いっきり笑えるシーン満載です。

 

 

 

 

 

 

 

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