今注目のシンガーソングライター、リ・ファンデインタビュー「無心になれることが僕の強み。曲を聴いてる間だけでも、自分の中に隠していた気持ちが復活してくれたら」 Interview : Lee Hwangdae, singersongwriter
今年の川越コーヒーフェスティバルミニの出演アーティスト、リ・ファンデさん。
サニーデイ・サービスの曽我部恵一主宰のレーベルROSE RECORDから、2017年にLee&Small Mountainsとしてアルバム「カーテン・ナイツ」をリリースしてデビューを飾り、その後もシンガーソングライターとしてのソロ活動を続けながら、在日ファンクやシアターブルックなど人気ミュージシャンとのコラボも積極的に行なっています。来年には奇妙礼太郎さんとのツーマンライブも控えているリさんですが、普段は、企業でフルタイムで働きながら、プロとしてアーティスト活動を行うというユニークなキャリアの持ち主でもあるんです。そんなリさんに、コーヒーのお話や、好きな音楽のこと、そしてご自身の強みや美しいと思うことなどを伺いました。
—聞いた話によると、リさんはコーヒーお好きだそうですね。
散歩がてら、家も近いので蔵前エリアで飲むことが多いです。それに、嫁さんとはもともと地元の茨城のコーヒー屋さんで出会ったんですよ。嫁さんが店長で、僕がアルバイトでした。だから、そういう意味ではコーヒーは自分の中で大きな存在です。蔵前あたりを散歩しながら、よくふらっとコーヒーショップに入ります。
—どんなコーヒーがお好きですか?
深煎り派です。先日、曽我部さん(サニーデイ・サービスの曽我部恵一)とも深煎りが好きって話をお互いにしていました。
—ところでリさんは、小さい頃から音楽好きでしたか?
3人兄弟の末っ子なんですけど、兄がニルバーナとかオアシスを聞いていたのを見ていて、音楽に興味をもちました。でも、兄とはちょっと違う方向にいこうと思って、ゆずとかウルフルズとか、もっとフォーキーで日本の優しいメロディーを歌う人達を聴くようになりました。それでフォークギターを買って演奏していました。
—大学は上京して青山学院大学に進まれたそうですね。
それまでは茨城にいて、ロックを本気で好きな友達は周りにいなくて、自分の本当に好きなことの話しをなかなか共有できなかったんです。でも大学は、みんなひとりひとり趣味があるし、政治の話しもできるし、ロック好きな人もたくさんいたし。それで東京にでてきて少し心が楽になったんです。
ナンバーガールとか、サニーデイとかに影響をうけて、それからブラックミュージックやソウルミュージックも聴くようになりました。
—でも音楽の道へは進まずに、就職したんですね。
前の会社には今年の初めまで10年いました。でも、スポーツ関係の仕事だったので、自分の興味のあるカルチャーや音楽には縁がなかったんですよ。それで、どうしても音楽への思いが強いので、仕事は続けるにしても、音楽と遠くなりすぎない仕事にしようと思って、転職しました。今はコーヒーのマーケティングの仕事をしています。 今のほうが音楽好きな人も多いし、気持ちが楽になりました。
—今は、フルタイムで働きながらライブ活動をされているイメージが強いですが、ライブはプロレベルですよね。それはどういう理由からですか?
周りの人たちを心配させることにとても居心地の悪さを感じる性格なので、心配させずに好きな音楽をやるにはどうしたらいいか、って考えて、今のように働きながら好きなことをやるという選択肢を選びました。
—影響を受けた人は?
真心ブラザーズのYO-KING さんとかウルフルズのトータス松本さんが一番影響受けたかもしれないですね。トータスさんは歌もいいし、ルーツをしっかり持っているし、昔のソウルミュージっくを歌わせたら、めちゃくちゃかっこいです。
YO-KINGさんは詩人て感じがする。音楽を始めた頃は、彼の詩を一番読んだかもしれないですね。
—昨年川越に来てくださった、奇妙礼太郎さんとも交流がありますね。
僕がすごく好きなんです。自分のイベントに出てくださったり、レコーディングに参加してくれたりしてます。奇妙さんは、まずすごく歌がうまいですよね。あとは 媚びてる感じが一切ないのがすごくかっこいいなって思ってます。
—川越って今まで縁ありますか?
ライブは初めてで、おそらく行ったことがまだないんですよ。でも川越って、僕が今まで 属してきたコミュニティに、川越出身者が1人はいるイメージがありますね。軽音楽部にもいたし、職場にもいるし、どこにも必ず1人はいます(笑)。だから、楽しみです。
—音楽する上で大切にしているものは?
自分がいいと思うもの、自分が聞きたいと思うものを作ることが大切だと思います。
—リさんの一番の強みはなんですか?
無心になれることじゃないですかね。あまりこう見られたいとかいう感覚があまりないです。末っ子だからかもしれないけど、いるだけで存在意義があるっていう環境だったので、自分が思っていることや感じていることしか歌に入れていないのが特徴かもしれないですね。
—ところでリさんにとって美しいとはなんですか?
強さかなって思います。音楽にしても、コーヒーにしてもそういうことを感じるものってないですか?
一回だけでなく、何回飲んでも発見があるというか、真の強さがあるというか、
たとえばビートルズの名盤と言われているものは、すでに何億人の人たちが聞いていて、それでもまだ新しい人たちが聞いてすごいって思う。それは強いし、それが美しさなんじゃないかなって思います。僕が思う強さというのは、見た目よりも内側から出る美しさですね。
—最近そういう美しさを感じたことはありますか?
ミュージシャンですと、カネコアヤノさんは美しいし強いなと思います。奇妙さんも美しいなと思うし、建物だったら、京都のお寺とか、映画でもずっと残るものは美しいなと思います。映画は「アンタッチャブル」とか、マフィア系もなんとも言えない美しさを感じて好きです。
—これから音楽とはどういうスタンスで生きていこうと思っていますか?
自分の中では結構決めています。30歳までにレコードも出せないならやめようと思っていたら、曽我部さんに声かけてもらってROSE RECORDからレコード出せたんですよ、それで35歳までにどうにもならなかったら辞めようと思っていたら、今年アルバム出せて、聴いてくれる人が増えてきたんでまだ続けようと。次は40歳までにプロとしてやっていけるレベルに達していなかったら、辞めようとおもっています。
—すごいですね、音楽に生かされている感じがします。最後に、ライブに来る方にメッセージをお願いします。
曲を聴いて、「僕自身もうっすらそういうことを思っていたんだよな」って呼び起こされるようなことがあればいいなと思います。隠してる気持ちというか、隠してしまったものを、ライブを聞いている時だけでも復活させてくれたらいいなと思います。
★★★★★★★★★★★★★★★★
ストレートな強さと繊細さが交錯する歌詞は、明るくて優しくてちょっと切なく懐かしい。自分のアーティストとしての才能を時に客観的に見極めながら、自分の心地良い環境で音楽を続けている姿勢がとても素敵です。ここ数年で、大きく飛躍するに違いないアーティスト。ぜひ一度歌声を聴いてください。ライブ、お楽しみに。
撮影:安達美聡
協力:ROUTE BOOKS
プロフィール
リ・ファンデ Lee Hwangdae
2015年11月3日にROSE RECORDSからLee&Small Mountainsとして『Teleport City』を7inch+CDフォーマットにてリリース。
2017年1月20日、デビューフルアルバム『カーテン・ナイツ』を発売。 同年2月26日、下北沢THREEにて、曽我部恵一を招いて開催されたレコ発はSOLD OUT。
10月にはTSUTAYA O-nestで初のワンマンライブを行った。 2018年は自主企画イベント”Love can move mountain!”を精力的に展開。
SaToA/いーはとーゔ/The Wisely Brothers/SCOOBIE DO/奇妙礼太郎/シアターブルックなどを招き、下北沢を中心に活動。
2019年夏からはリ・ファンデ名義で活動をスタート。2020年10月ソロとしてファーストアルバム『HIRAMEKI』をリリース。
【ライブ情報 】
リ・ファンデ スペシャルライブ 会場:川越コーヒーフェスティバル(蓮馨寺)https://kawagoecoffee.com/
開催時間:11月29日(日)
演奏時間:showtime 12:00pm-12:30 1st set
12:50pm-1:20 2nd set
※ステージの長さは約60分を予定しております。
※ステージの間に20分程度の休憩を挟みます。
【スピンオフイベント】川越コーヒーフェスティバルミニ・川越コーヒーデイズ
開催日時 2019年11月29日(日)雨天決行
開催時間 10:00-16:00 入場無料
開催場所 川越蓮馨寺境内
公式サイト https://www.kawagoecoffee.com/
主催 川越コーヒーフェスティバル実行委員会
後援 (公社)小江戸川越観光協会
アクセス: 西武新宿線本川越駅より徒歩5分。東武東上線川越市駅より徒歩10分。川越駅東口市内バス神明町方面行きにて、蓮馨寺前下車(バス約7分)
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