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名門バークリー音楽院から帰国し、日本でプロ活動を本格的にスタートしたVivaOlaインタビュー 「誰かが信じてくれたらチャンス。才能や努力は目に見えないから、それまで自分自身を信じ続けることが大事」 Interview with VivaOla, singer-songwriter and producer.  

幸せな日常に欠かせないのが、一杯のコーヒーと共に聴くお気に入りの音楽。

素敵な人たちにお会いするインタビューのゲストは、R&BシンガーソングライターのVivaOlaさん。

6月17日にリリースした初のミニアルバム「STRANDED」が好調で、現在、米国ボストンにあるバークリー音楽院で作曲を学ぶ現役大学生でもあります。

ふとラジオから流れてきた心地良くも斬新なサウンドと、心に刺さるリリックに心奪われ、このセンスと才能は一体どこから来るのかをどうしても知りたくて、夏休みで帰国していたVivaOlaさんにお会いしてきました。

韓国で生まれ、0歳の時に日本にやってきたVivaOlaさんは、 保育園、幼稚園、小学4年生まで、両親の仕事の都合で東京の日本の学校を転々とし、5年生(8th grade)から高校になるまでインターナショナルスクールに通学。高校3年間はまた日本の学校に行き、友達ができたらバイバイすることを繰り返す学生時代を過ごします。

その後ニューヨークに渡り、音楽系のエンジニアになるべく大学進学を志すも不合格。代わりに入った日本の大学の留学プログラムで、ロサンゼルスのUCLAに行ったとき、プロになる決意をします。その後、ボストンの名門バークリー音楽院へ。現在は、作曲科でソングライティングを専攻する大学2年生です。

 

今夏より日本で本格的にプロとしての活動を開始したVivaOlaさん。彼は、生きていた22年間でどのような音に触れ、今ここにたどり着いたのでしょう。インタビューでは、幼い頃のことや好きなこと、嫌いなこと、これからの目標などを伺いました。

 

―幼い頃はどんな音楽を聴いてましたか?

小1から小3までピアノを英才教育のように習わされていました。先生が厳しくて、こうやらなきゃだめ、みたいな教え方をされるのが凄く嫌で、毎回お腹痛い、頭痛いって仮病しすぎて辞めさせられました。音楽が好きになったのは、中1くらいの時にギターを始めてからです。 邦楽だとワンオク(One OK Rock)、洋楽はリンキン(Linkin Park)とかが好きでした。

 

ー楽器はいくつも演奏されるんですね。

そうですね。教わるのが嫌な性格なので、ギター教室に払うお金ももったいないし、「一人でやるから」ってギターだけ買ってもらってYouTube とか見て独学で始めました。 ドラムとベースは弟に教えてもらい、高校の時に軽音部がなくて入ったジャズ部で、テナーサックスをやってました。ピアノは知識程度には弾けるので、全部で4、5楽器くらいできます。

 

—ところで言語は何ヶ国語話されるんですか?

言葉は3ヶ国語話せて、話せる順番にまず日本語、次がインターに通っていたので英語、それからK-popを歌うのが凄く好きで独学で学んだ韓国語です。

ーいつからプロになろうと思ったんですか?

手が器用だったので、最初何となく音楽系のエンジニアの大学に行きたいと思って、ニューヨークにある大学とか受けたけど全部落ちちゃったんです。 それで日本の大学に1年間通っている間に留学プログラムでUCLA に行く機会があって、書類上はビジネスのクラスを申し込んで、実際は音楽のクラスだけ受けてたんですよ。その時にロジックとマックを買って、自分で作りながら、「上手いな、できるな」と思って本格的にやり始めました。2017年の夏くらいからですね、本当にプロになろうって思ったのは。

 

―バークリーを選んだ理由は?

エンジニアやプロデューサーを目指しつつも、本当はミュージシャンがいいなっていうのはどこかにあったんです。アーティストは想像できないってずっと親にも反対されてたけど、バークリー受かっちゃったので心が決まりました。

 

ーでもバークリーって名門で、錚々たるミュージシャンが出ているところじゃないですか。それに、ジャズのイメージがあるんですけど、今のバークリーはVivaOlaさんみたいな感じの人もたくさんいるんですか?

全然多いですし、むしろプロデューサー志向のEDMも凄く多くて。僕もそうですけど、その人たちも最初はジャズで来てしばらくやって、自分がどの道を選ぶかを考えて敢えてやらなくなったみたいなところもあります。 バークリーって作曲の学部だけで専攻がいくつも分かれているんです。コンポジションっていうクラシックと、ジャズコンポジションていうビッグバンドなどのジャズ作曲と、CWP(コンテンポラリーライティング&プロダクション)といって CM に書くような商業的ライティングライティングと、詩と歌を中心に学ぶソングライティングと4つあって、僕は一番興味のあったソングライティングを専攻しました。

―行ってみてどうですか?

良かったですね。ずっと自分の中で歌が一番のパッションだったんですけど、同時に一番自信がなかった。もともとどこか楽器思考なところがあるので、いかに作詞に力を置いて、歌で人に届きやすくするかを教わることができました。

 

―今バークリーを1年間休学する理由は?

コロナの問題があってどうなるかわからないし、学費も高いしちょっと色々ややこしいんです。でも、単純にそろそろ本気出そうかなみたいな感じはあって、しばらくは本格的に日本で活動することを決めました。もともと卒業はあまり興味ないし、 ミュージシャンに学歴も何もないんで、もう学校に戻らなくてもいいかなっていうのはありますね。

―ところでVivaOlaという名前の由来は?

中学の時にFPS ※っていう銃撃戦みたいなオンラインゲームをやってて、その時友達がつけてくれたハンドルネームがVivaOlaだったんです。響きがいいし、それをそのまま使ってます。

※First Person Shooterの略。主人公と同じ視点で操作するスタイルの3Dアクションシューティングゲーム。

 

ー原点はR&B  なんですか?

そうですね、最初に好きになったのはロックなんですけど、ディアンジェロが言葉にできないくらい最高に好きで、あとはエリカ・バドゥとか、ブラックミュージックに一番ハマりました。R& B ならブライアン・マックナイトとか、もうちょっとモダンな人だったら韓国のディーン(DEAN)とかが好きです。その人は全然ベテランだし歳も上だけど、 R&Bでももっとヒップホップやポップ寄りで、オルタナティブなので自分に近いと思っています。でもR&Bばっかり聴いているわけではなくて、アニメが凄く好きなのでアニソンも聴いてます。

 

ー今回のニューアルバムのタイトルを「STRANDED」にした経緯を教えてください。

曲のテーマが、寂しさとか孤独感なんですけど、僕がそういう人間なんです。一人でいるのが好き。でも自粛期間でみんな分かったと思うんですけど、ずっと一人でいるとやっぱり人間悲しいじゃないですか。このアルバムはコロナ前に書き終わっていたんで、あまり今の状況とは関係ないんですけど、一人が怖いっていうのを書きたかったんです。大勢の人といても感じる孤独とかがすごく愛おしくて興味があるので、そういうテーマで書いてます。

 

ーVivaOlaさんの世代ってそういう感じの人多い気がします。

SNSとか、インスタとかやってて、寂しくなりません?華やかな写真が載ってたら、この人自分と違う世界にいるんじゃないかと思ったりして。そこに気軽にいいねって押せるけど、いいねっていう感情しかないっていう制限性とかも含めて色々考えて生きてます。哲学が好きなのもあって、そういうテーマで書いてて、どういう単語を使えばまとまるのか分からなかったけど、 好きなアーティストが曲中で、まるで僕はロビンソンクルーソーみたいだ、みたいなこと歌ってて、作家の本を読んだことがあったので、このタイトルに辿り着きました。

 

ー一番力を入れた曲は?

3曲目の「Runway」が一番個人的に好きです。最初の EP は、楽器がめちゃくちゃ多くて、ひたすら足して作った曲だったんですけど、今回一番考えたのは引き算。どれだけ抜いてその曲らしさを残せるかみたいな。だからこの曲からこれ以上抜いたら本当に何もないほどすごい簡素になってます。Jポップってめっちゃ音を入れたがるんですよね。 サビが来て、はい、ストリングス、みたいな。いらないじゃんって思っていたので、Runwayは意外と楽器も変わってないです。

ー自分と他のアーティストと比べて、何が違うと思いますか?

難しいですね、あまり考えたことないんで。ただ、良い曲を作りたいということは一番大事にしています。 周りの友達は、目先の数字を追ったり、これ聴いてくれれば友達がワオって言ってくれるよねって、意外とその部分を忘れてる人もいる気がするけど、僕は数字とかはどうでも良くて、ただ良い曲を作りたいなって。

 

―VivaOlaさんにとって良い曲とは?

結局心に響かないと意味がないんで、伝わる曲ですかね。それはメッセージ性もそうだし、歌詞もそうだし。いい度合いっていうか、簡単すぎたら伝わらないし、いろんな形容詞を使って書いても逆に伝わらないし、一言で何か言われても伝わりきらないし、いいバランスというか、伝えようとする意思がこもってる文章が一番綺麗。でも聴いた人の人生や解釈があるんで、結果的に意外と自分が思ってた通りに伝わらないなという気もしています。たとえ思った通りに伝わらなくても、繋がることが一番大事だと思ってます。

ーVivaOlaさんにとってチャンスとは?

人が信じてくれること。自分でやってきて思ったんですけど、最初は誰も信じてくれないじゃないですか。成果を出さなきゃ誰も何も見えない世界。曲に関しても、僕が曲を出さなかったら、努力や才能は誰にも見えないですよね。でも、それがまだはっきり見えなくても、誰かが信じてくれることってチャンスだなって。それまでは自分を信じられるのは自分しかいないけど、それまでに折れてしまう友達が多いなって思います。

 

ーそういう意味で今まで一番チャンスだったのはいつですか?

やっぱり今所属しているレーベル「FRIENDSHIP」の人が、EP一曲だけ聞いて、「これからもすごいものが作れそう」って言ってくれた時がチャンスだと思いました。業界の人が言ってくれたのが嬉しかったです。友達はもうちょっと有名になったりしたら、逆に連絡来るようなうわべだけみたいな人が多いんです。

ーご自身では自分はどういう性格だと思います?

性格はもともと反発的で、なかなか面倒臭いです。例えばですけど、お母さんに「とりあえずアスパラ食べなさい」って言われて「なんで食べなきゃいけないの?説明して」ってなります。「とりあえず食べなさい」の“とりあえず”がウザくて。でも社会に出てもその疑問がまだ続いてます。「とりあえず就活どうすんの?」みたいなこと聞くと、そういう人って人生終わってんなって思っちゃうんですよ。僕はその人がなんでとりあえず就活したいかをわかってるんで、「とりあえずじゃ全然楽しくないよ」ってわかって欲しいんです。

 

ーVivaOlaさんの周りは、みんな就活して決まった頃ですよね。

僕の周りはちゃんと思考ができた人が多いです。じゃないと友達としてお付き合いできないというか。芯がある人が好きだし、自信もあって欲しい。日本て自信がない人が多いですよね。

ー付き合ったり、好きになったりする女性も自信がある人ですか?

人によります。 好きになった人が好きになった人なんで、別に自信がなくてもその人なりの優しさがあれば。その人なりの良さを受け入れたいですね。「芯がある人が好きだから、あなたも芯を持って」っていうのが嫌です。僕、亭主関白するほどプライドがないし、自分にプライドを持ってない。

 

ーVivaOlaさんにとって美しいとはなんですか?

正直なこと、素直なことが一番美しいと思います。美しいと思って見せる美しさより、自然に見せて美しくなったものの方が美しい。

 

ー最近美しいと思ったことは何かありますか?

曲で結構あります。いろんな人のを聴いてて、「やば、めっちゃ綺麗」とか、何も考えないで作ったから綺麗なんだろうなみたいな。最近聴いて美しいって思ったのは、R&Bのギャラント(Gallant)の曲です。

ーこれから目指すスタイルがあれば教えてください。

普通にVivaOlaっていう名前はR&Bの代名詞にしたいんで、R&Bを主軸に、ちょっとポップぽい曲や、ヒップホップっぽい要素の多いやつがあったり、ちょっとロックとかオルタナティブが入っていたり、ジャンルを限定せずに歌いこなす感じとか色々やってみたいですね。R&Bだったらなんでもいいというか、自分が興味があることをひたすらやってみたいです。

 

—ところでVivaOlaさん、コーヒーはお好きですか?

コーヒーは飲まないんです。父親がコーヒー大好きなので、昔からいつも家で淹れて飲んでたんですけど、あの苦さがダメで。いつか飲めるようになりたいとは思っているんですけど。

 

—今後、苦くないコーヒーを是非ライブに差し入れさせてください(笑)

VivaOlaさんは、若手のアーティストで構成されるアート・コレクティブ「Solgasa」の一員としても積極的に音楽制作を続けるほか、アーティストに楽曲を提供するなど、作曲家やプロデューサーとしての評価も高まっていて、7月15日にはニューシングル「The Artist feat. Tommi Crane」をリリースしたばかり。

https://friendship.lnk.to/TheArtist

これからますます注目されるに違いない才能で溢れた逸材VivaOla。 未体験の方は、コーヒーのお供に是非聴いてみてくださいね。

2020年6月17日リリース

ミニアルバム「STRANDED」by VivaOla
レーベル FRIENDSHIP

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