シンガーソングライター、おおはた雄一インタビュー 「自分で考えて決めたことをやる。正解はないから、常にそういう選択をしていきたい」Interview with Yuichi Ohata, singersongwriter and guitarlist
出演アーティスト、もう一人はシンガーソングライターでギタリストのおおはた雄一さん。
昨年デビュー15周年を迎えたおおはたさんは、2004年アルバム「すこしの間」でデビューして以来、ソロ活動を続けながら、坂本美雨さんと「おお雨」としてユニット活動したり、多くのアーティストやCMに楽曲を提供したりしています。また、代表作「おだやかな暮らし」は多くのアーティストにカバーされています。
そして、おおはたさんは大のコーヒー好き。毎朝ミルで豆を挽き、ドリッパーで淹れた深煎りのコーヒーをマイボトルに入れて持ち歩いているそうです。過去には、広島のコーヒーショップとコラボしたドリップバッグを商品化したことも。
そんなおおはたさんに、音楽のことやコーヒーのこと、そして大切に思っていることなどを伺いました。
—幼い頃はどのような子供でしたか?
バスケや野球が好きで、わりとスポーツ少年でした。バンドブームで「イカ天」(多くのバンドを輩出した深夜番組のコーナー『三宅裕司のいかすバンド天国』)「ホコ天」(原宿駅の歩行者天国で活躍していたバンド)があって、学校中がバンドに夢中だった中学生の頃にギターを始めました。 当時はJUN SKY WALKER(S)とか人気でしたね。
—ギタリストになろうと思ったのはいつですか?
なにかを始めると、けっこうそのことばっかり夢中になっちゃうタイプで、ギタリストになろうってはっきり決意した瞬間はないんですけど、気が付いたらギターにのめりこんでいましたよね。ギターの前はスケボーにのめりこんだりしましたけど。自然とギターに夢中になっていった感じです。
—最も影響を受けたアーティストをあげることはできますか?
1人には絞れないですね。今でもやっぱり心の中に太くいるのは、ビル・フリゼールというギタリストですね。彼は、一音出しただけで、もう本当にいいんですよ。ただただ、いい音を奏でてる。ライブに行くと、一音聞いただけで、「ああ来てよかったな」って思えるすごいミュージシャンです。
—おおはたさんは、歌も歌われますね。
歌は、わりと昔から好きだったんですけど、意識してちゃんと歌おうと考えたのは、自分で弾き語りをしてからなので、ここ20年くらいですね。
—ギターを弾いてると歌いたくなりますか?
歌う必要のないときもたくさんあって、ギターだけでいいときもあります。基本的にはギターで音楽との接点があって、そこの上に自分があるって感じかなぁ。だから、歌だけ歌いたいっていう気持ちはないですね。
—コロナになって、アーティストは大変な状況になったと思いますが、おおはたさんはどう過ごされていたんですか?
僕だけじゃなくてみんな大変だと思うんですけど、意外と適応能力があるのかなっていう気はしました。 考え方は変わりましたよね。 良い意味でリセットできたし、物もこんなに必要ないなって思ったり、時間もできたし、自分にとっては悪い面ばっかりじゃなかったと思います。
一時期、空もすごく綺麗だったし、緑も深くなったし、もしかしたらコロナの前の世界のほうが異常だったんじゃないかなって思いました。立ち止まるっていうのは、悪いことばっかりじゃないですよね。
—そうかもしれませんね。音楽を続ける上で大切にしていることはありますか?
続けていくのに、自分に燃料を与え続けるのはすごく大変じゃないですか。ある程度続けていくと興味も止まっちゃうし。自分に何か面白い餌みたいなものをぶら下げたり、スタッフの提案があったりして、刺激をもらうことも大事だと思います。
だから、このコーヒーのイベントにしても、周りから「やってみない?」って声かけてもらって、自分だけでは行けない場所に行くっていうのは、続けていくためには良いことかなぁとは思うんですけどね。
—今までギターを続けてきて、ギターから得たものってたくさんありますよね?
自分でも気づいていないことも含めて山ほどあるんじゃないですかね。ギターは木ですから、木を毎日触っているというのは、精神的にも良いだろうし、ギターになるまでに何百年も経っている木を触ることも、弦を弾く振動も、体にとってはいいんでしょうね。
—そうですねぇ。それを何十年も抱えていらっしゃるんですもんね。
そうですね。そう考えると。ギターってわりと個人的な楽器だなって思っていて、自分だけのためにやるっていう側面もすごく大きいなって思います。それはプロでもアマでも関係なくて、ただ弾くだけでも意味がある。技術は関係ないです。
—おおはたさんにとってチャンスってなんですか?
何か周りの状況が変わっていったり、環境が変わらざるを得ないときは、チャンスなのかなって思います。その瞬間に自分でそれがチャンスだとわかっていなくても、結果的にみたら、あの時やっておいてよかったなって思うこと、きっとそれはチャンスだったんだなって思います。
—おおはたさんにとって成功とはなんですか?
結果はどっちでもいいから、自分で決めたことをやっている実感が持てることですかね。そういう感覚は僕も欲しいし、自分が常にそういう選択をしていたいなぁって思いますね。無意識にわりと人が言うことを鵜呑みにして聞いちゃうことがあるんだけど、自分で考えるって大事ですよね。
例えばギターは、修理してくれる人のベストと、僕の考えるベストは違うんですよ。僕にとってはちょっと木が曲がっているほうが弾きやすかったりするし、自分だけに合うものってありますよね。
—生きる上で大切にしていることはありますか?
音楽に関して言えば、結局は手を抜くことができないから、やりだしたら自分の色をしっかり出せてるかっていうことを大事にしています。
でも人生に関しては、うーん、あんまないかな。だから、こんなになっちゃってるんだろうなぁ(笑)。
—では、おおはたさんにとって美しいとはなんですか?
透明感とか、美しいと思うことは多いですけど、最近は友部正人さんというフォークシンガーの方の立ち姿や佇まいは美しいと思います。生きていると、美しくないって思うものが多いから、出会うと嬉しいですよね。自分もそうなりたいと思いますよね。
—ところでコーヒーはお好きですか?
毎日ミルでガリガリやって、ペーパーかネルを使って淹れて、コーヒーをポットに入れて持ち歩いてます。 深煎りのちょっと甘いようなのが好きです。僕は盛岡が好きなんですけど、なぜなら盛岡って良い喫茶店がたくさんあるんですよ。「クラムボン」ていうお店があるんですけど、そこのコーヒーが好きで時々取り寄せます。僕は深煎りが好きですね。東広島のEARTH BERRY COFFEE(アースベリーコーヒー)さんで、自分のオリジナルコーヒーバッグを作ってもらいましたよ。
—すごくお好きなんですね!嬉しいです。ぜひイベントでもたくさん飲んでください。
はい、だから楽しみにしているんです。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
素晴らしいギターの音色で、多くのアーティスト達をも魅了するおおはたさん。語りかけるような優しい歌声と唯一無二のギターの音色が、今、先の見えないこの社会状況で不安で戸惑う私たちに、穏やかな安らぎの時間を与えてくださる気がします。
今、音楽が必要な人の心にしっかり届きますように。
インタビュー:高綱草子 Kaya Takatsuna
プロフィール
おおはた雄一 Yuichi Ohata
シンガー・ソングライター、ギタリスト。
2004年アルバム「すこしの間」でデビュー。代表曲「おだやかな暮らし」は、クラムボンなど多くのアーティストにカバーされている。
自身のアルバム制作のほか、他のアーティストへの楽曲提供(畠山美由紀、湯川潮音 など)や、ギタリストとしても数多くの作品に参加(持田香織、ハナレグミ、竹原ピストルの作品など)。CM音楽(株式会社コロナ、再春館製薬所 など)、CMナレーション(旭化成、NEC、他)、映画音楽や、舞台の音楽制作も行っている。
2019年はデビュー15周年を迎え、9thアルバム「眠る発光体」をリリース、「アコースティック・ギター・マガジン vol.82」の表紙も飾る。
2020年、自身初となるLIVE盤「浮かび上がる世界」を発売。坂本美雨とのユニット「おお雨」では1stアルバム「よろこびあうことは」をリリースした。
https://yuichiohata.com
twitter:@ohata_info
instagram:@yuichiohata
【ライブ情報 】
おおはた雄一 スペシャルライブ 会場:川越コーヒーフェスティバル(蓮馨寺)https://kawagoecoffee.com/
開催時間:11月29日(日)
演奏時間:showtime 14:00pm-14:30 1st set
14:50pm-15:20 2nd set
※ステージの長さは約60分を予定しております。
※ステージの間に20分程度の休憩を挟みます。
【スピンオフイベント】川越コーヒーフェスティバルミニ・川越コーヒーデイズ
開催日時 2019年11月29日(日)雨天決行
開催時間 10:00-16:00 入場無料
開催場所 川越蓮馨寺境内
公式サイト https://www.kawagoecoffee.com/
主催 川越コーヒーフェスティバル実行委員会
後援 (公社)小江戸川越観光協会
アクセス: 西武新宿線本川越駅より徒歩5分。東武東上線川越市駅より徒歩10分。川越駅東口市内バス神明町方面行きにて、蓮馨寺前下車(バス約7分)
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