• Retty
  • homeHOME /
  • DIARY /
  • タランティーノ愛がぎっしりなファン待望の最新作「ジャンゴ 繋がれざる者」Django Unchained

タランティーノ愛がぎっしりなファン待望の最新作「ジャンゴ 繋がれざる者」Django Unchained

2012.12.05

アメリカでもクリスマスにいよいよ公開されるクゥエンティン・タランティーノ監督最新作「ジャンゴ 繋がれざる者/ Django Unchained」、ハリウッドでは試写が始まりました!南北戦争開始2年前、奴隷制真っ只中のアメリカ南部を舞台に繰り広げられるドイツ人歯医者&奴隷からフリーマンになった男の、血と肉と汗と涙の痛快な夢物語。タランティーノワールド炸裂の超大作です。2時間45分があっという間のストーリー展開とスピード感。これは必見!!

 

奴隷制、プランテーションと言えば、アメリカ最大の歴史の1ページ。この歴史的事実から完全なフィクションをおこし、コメディー満載というタブーに挑んだタランティーノ。会場は終止大笑いと大拍手に包まれていました。この歴史から150年以上の時を超えた今、同じ場所で、ヨーロッパ系、アフリカ系、アジア系アメリカ人みんながこの映画を観て一緒に笑ったり、拍手喝采したりして映画を楽しんでいる、、、なんともアメリカのスケールと器のでかさを感じずにはいられない試写に。この日はSAG(映画俳優組合)関係者向けだったのですが、開演45分前ですでに満員御礼。予約をしていたのに入れない人達で溢れるという、ハリウッドでの期待度の高さを証明、タランティーノファンの多さを肌で実感しました!

 

俳優の演技みどころは、ドイツ人賞金稼ぎ、クリストファー・ヴォルツとレオナルド・ディカプリオの悪役っぷり。ヴォルツは、ずーっと喋りっぱなしの役なのですが、実は喋っていない時が素晴らしい。話していない時の目の動き、手の動き、ふとした表情に役の人生観が見えてきます。役のクライマックスをしっかり捉え、計算され尽くした彼の演技に観ている方は心動かされます。謎のいかさま歯医者の台本にない部分の人生をもっともっと知りたくなるほど、魅力的な役に仕上がってて素晴らしい。そしてディカプリオも必見!あのディカプリオがタランティーノの作品で悪役に!ということで公開前から話題騒然となっていましたが、いいですよぉ。資質で持ってる「善い人」が消えてないから、さらにワルに見えます。この二人のシーンは実に面白いです。

 

また作品のコメディー感とは裏腹に、映画を観て私が最初に思ったのは、「俳優達はこの歴史的事実をベースにしたフィクションの中でどうやって役を構築していったのだろうか?かなり大変だったのでは?」ということ。上演後のQ&Aに登場した、奴隷の妻役、ケリー・ワシントン/ Kerry Washingtonは、「役を作って行く上で、自分が何をしているのかワケがわからなくなることがあって不安だった。奴隷として地獄を生きている一方、ロマンスが存在する。自分がどの位置にいるのかわからなくなる時があって、普段ならマネージャーやエージェントの人間が撮影現場に来るのって大嫌いなんだけど、今回だけは自分から呼んじゃったの。」と話していました。「プレプロダクション(撮影前の準備期間)の時、資料室に入って、当時実際に奴隷が使用していた本物のマスクの写真が50枚壁に貼られているのを見た時は、これは事実なんだって思って、真実に忠実に生きなければと思ったの。」彼女、真摯に役と向き合う、かなり真面目な努力家アクトレス。こういう俳優達ひとりひとりの地道な役構築があってこそ生まれる「笑い」。彼女が言った言葉、「Humor comes from the truth.(ユーモアは真実があってこそ)」が最後まで記憶に残りました。

 

しかし会場からは、役作りの苦労を話すケリーに対し、「事実はもっとひどいわよ!」と叫ぶ声が飛ぶシーンも。俳優関係者の試写だったせいか、演技に関してはシビアな意見もあり、 歴史をベースにしたフィクション作品を観客に伝える難しさを感じた試写でもありました。

 

そして俳優達が一度は出てみたいタランティーノの作品で、今回Billy Crash役に選ばれたウォルトン・ゴギンスは「どうやってキャストされたの?」の質問に対して、「友人に誘われてBBQに行ったらタランティーノがいたんだよ。それですぐに台本を50ページ読むことになった。ケリー(女性)の役以外全部ね。その時は、自分が選ばれるなんて思ってもいなかったし、ただ、この作品を書いたタランティーノ本人の前で、彼の作った言葉を自分が読めること自体がとても幸せだった。それだけで満足だったんだよ。」と言っていました。俳優にもファンが多いタランティーノ。この後もQ&Aではタランティーノがどれだけ作品に、本に、映画に、テレビに、ポップカルチャーに、衣装に、映画人に、アメリカに、ありとあらゆるものに愛と情熱を注ぎ、周りのキャストやクルーがどれだけそれを尊敬しているかを話していました。

 

これは雑誌「GQ」のフォトより。サミュエルLジャクソン、タランティーノ、ジェイミー・フォックス、クリストファー・ヴォルツ。映画には監督自身もちょろっと出演します。俳優ってカッコいいわぁ、、と銀幕の彼方のスターたちを「スター」として手放しで賞賛できる「ザ・映画」です。

 

<<ストーリー>>ドイツ人歯医者(クリストファー・ヴォルツ)は賞金稼ぎで南部を旅していたとき、ひとりの奴隷(ジェイミー・フォックス)に出逢う。その奴隷はミシシッピ州の奴隷売買を営む悪徳大富豪(レオナルド・ディカプリオ)に妻を奪われた過去があった。賞金稼ぎ&妻を取り戻すという、それぞれの目的を果たそうとミシシッピ州、キャンディーランドに乗り込んだ二人の行く末は、、、。痛快ドンパチ、ロマンス、アクション、コメディー、ドラマ、音楽の魅力盛りだくさん。衣装の襟ひとつにまでもタランティーノの情熱を感じることができる超傑作です!

DIARY BACK NUMBER

NEW ARTICLE

Page TopPage Top