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8月6日出版記念トークイベント開催!SWITCHインタビュー出演、そして隕石の硯の製作と、さらに邁進する製硯師・青栁貴史が近況を語る

成功者をフィーチャーしたウェブマガジンHIGHFLYERS にて、日本の毛筆文化継承のために尽力する製硯師(せいけんし)の青栁貴史さんの活動を長期にわたって取材しております。前回のブログ記事では2月に蔵前で開催された「青栁派の硯展」をお伝えし、数ヶ月が経った先月の近況を伺いに工房にお邪魔してきました。(Interview & text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka)

改めて、製硯師(せいけんし)とは、 “硯に関する全てのことに精通する技術者”のこと。青栁さんは、浅草で昭和14年から続く宝研堂の4代目として、石の採掘から研究、硯の製作、模刻復元のほか、流通プロデュースや修理に至るまでの全てを行っています。

今回、青栁さんにお会いしてびっくりしたことが2つ。一つめは、わずか3ヶ月の間に本を出版されていました!おめでとうございます。タイトルは、「硯の中の地球を歩く」(左右社)。

 

—最近は、どのような活動をされていましたか?

今年の6月に新刊「硯の中の地球を歩く(左右社)」を出させて頂きました。情熱大陸で話せなかったことや、幼少期のこと、中国での暮らし、それから山に入った時にどういう生活をするのかなど、また製硯師の生活を細かく記しています。4月に本を出さないかというお話をいただいてから、僕の工房に出版社の方達に頻繁に来ていただいてヒアリングをするところから始まったのですが、大学の僕の授業にも出て頂いたりして硯に関する基礎知識を知ってもらいながら進めていきました。3ヶ月ほどの共同作業で本は完成しました。

—出来上がった本をお読みになっていかがでしたか?

当事者である僕が読んでも面白いと思いました。直接的な書道への文化貢献は勿論ですが、この本を読んでいただくことで硯に興味を持ってくれる人が増えたり、硯を持つきっかけを作ることができたら嬉しいです。硯を使う文化を作り手が社会に発信することで、間接的であっても毛筆文化への貢献になってくれることを願っています。

石を見つけに行く中国でのエピソードがとても興味深く、異常なほどの石への愛が伝わってくる内容となっていました。この本を通して、是非多くの方に硯、石、毛筆文化、そして青栁さんの魅力を知っていただきたいです。

 

そして、2つ目は、なんと隕石の硯を作っていたこと!

前回は、日本の最古の石を求めていた気がしたのですが、なんと青栁さんの思考は宇宙へ飛んでおりました。

これが、火星と木星の間にあった隕石だそうです。モロッコで発見されたらしい。

この隕石から墨が磨れるんです。磨らせていただきましたが、モワッとしているというか、ちょっとドロッと磨れました。青栁さん曰く、「ワンテンポ遅れて感触が来る」そう。

—感動的ですね。今までの磨り心地とどう違いますか?

墨を滑らせた時、ワンテンポか半テンポ遅れて石と墨の接点の様子が伝わってくるような不思議な感触を受けます。また水との相性が良くなく、従来の製硯方法を受け付けてくれませんでした。 墨を石に噛ませる(*)メカニズムを作るのが僕たちの技術でもあるんですけど、構造や成分の理解が及ばず、取り組むことができた全ての隕石に鋒鋩を作ることができなかったんです。(全部の石に墨を噛ませる面を作れるわけではなかった、つまり墨が磨れなかった)。でも、火星と木星の中間地点という地球から遠い場所で小惑星になりそこなった隕石が飛来して地球にやって来たものの中に、僕たちが硯を作れるものがあったとわかったことは大きな収穫でした。

*「墨が石に噛む」とは、墨と硯面の接点のこと。墨は硯面との摩擦によって出来るので、墨が磨れるように石に繊細な鋒鋩(ほうぼう)と呼ばれる凹凸を整えることも製硯師の大切な技術の一つとされる。

—石の感触の伝わり方がワンテンポ遅れるというのは、石が時空とかを超えてきたからそう感じるのでしょうか。

時空の話などはよくわかりませんが、不思議な磨り心地ですよね。今回は地球外の石という材質に対する挑戦でした。全てが未知の世界。完全な未知の世界を自分の中で体験できた時って、こんなに身体の細胞ごと喜べるものなんだって感動しました。

毎回新しいニュースが盛りだくさんの青栁さんですが、8月6日に青山ブックセンターでトークイベントを行います。隕石の硯を作るにあたり出逢った国立極地研究所の山口晃先生と石について語り尽くします。石を極めるもの同士がどのようなユニークな話の数々を繰り広げるのか楽しみです。

是非、6日は青山で隕石に思いを馳せてみませんか?

トークイベント「隕石で硯を作る?!」青栁貴史(製硯師)x 山口晃(隕石研究家)

【日時】8/6(月) 19:00〜20:30(開場 18:30)
【場所】青山ブックセンター 本店 小教室
【料金】1,350円(税込)
【定員】50名様

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