キーワードは「参加型」の空間設計 「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」日本公演
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」”Hedwig and the Angry Inch” は1998年にオフ・ブロードウェイで上演され世界的ヒット作となった歴史的名作であります。この歴史的作品のストーリーとは、「戸籍も与えられずに育った少年が、国外脱出するために母親のパスポートを使おうと性別適合手術を受ける、、、が、それが失敗に終わり、1インチだけ股間に残ってしまった!」
という、コメディなのか悲劇なのかわからなくなるようなスゴいもの。それを大人になって女になった「今」の少年が過去を振り返りながらストーリーテリングをしていくミュージカルなのであります。オリジナルキャストのジョン・キャメロン・ミッチェルによって映画にもなり、インディー映画の賞を総なめにしました。日本では過去に三上博史さん、山本耕司さんが主役を演じていて3回目の今回は森山未來さんでした。
日本での観劇はかなり久しぶり。最後観たのいつだったかすら覚えてません。
今回注目なのは、客席の構造です。最前列スポットには立ち見スペースが600~800くらいのキャパがあり、その後ろから座席になっているのです。グローブ座でシェイクスピア観劇をしている、というよりはライブハウスでライブを観ているのに近い感覚ですが、作品のジャンルは一応ミュージカルなので、この会場の構造は非常に興味深い!さらに面白かったのは、お客さんがライブ感覚で来てる人と、観劇モードで来てる人と、両方いたことです。そしてどっちモードで観たらいいの?と迷って観てるお客さんが結構いる、という3重構造。笑。
もしかしたら劇場に観客が求めているものが変化しているのかもしれません。ソーシャルメディアの流れか、「参加すること」が当たり前になりつつある環境で劇場の存在も変わってきているのかな、と思います。数年前NYで観た動くグラフィックアートをふと思い出しました。まるでゲームのようにリモコンで鑑賞している人がそのアートを動かすのです。まさに「参加型アート」。日本の演劇も観客がどんどん作品に乗っかって行くことが自然になってきているのかもしれません。いいことですよね。本来ならば、作品のオリジナリティーを失うことなく、舞台から仕掛けることなく、作品に引き込まれるように気付いたら観客が参加していた!っていうのが最高の形ですけど。
16世紀のイギリス演劇のように、どの階級の人も劇場に足を運び、どこからでも鑑賞を楽しめて、客席から常に叫び声、笑い声がわき上がり、ヤジが飛んでいる。ときには野菜が舞台に投げ込まれることもあったりして。。演劇もオーガニックです。未来への期待を抱きつつ、その過渡期にいるのでは?と思わせてくれるような「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」日本公演。9月10日まで渋谷o-eastにて。そのあとは大阪、名古屋、福岡と廻ります。
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