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ジャパンブリュワーズカップとハンドドリップ大会で史上初の2冠達成!畠山大輝インタビュー前編「昨年予選落ちして、コーヒーとの向き合い方が真面目になった」Interview: Daiki HATAKEYAMA vol.1 , Bespoke Coffee Roasters

幸せな日常を彩ってくれるのは、一杯のコーヒーとワクワクする気持ち。コーヒーカルチャーに新しい風を吹かせる素敵な人たちにお会いするインタビュー第4回目は、「Bespoke Coffee Roasters(ビスポークコーヒーロースターズ)」焙煎士 畠山大輝さんです。

畠山さんは、2019年9月に行われたJBrC(ジャパンブリュワーズカップ2019)と JHDC(ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ2019)で優勝し、コーヒーの競技会において史上初の2冠を達成しました。しかも、畠山さんは大手のコーヒー企業や有名店の社員ではなく、フリーランスで、店舗も持たず、オンラインだけで豆を売っています。そして、大会で使用した豆は全て自分で焙煎しています。

生豆を選んで焙煎し、ブレンドして自分の納得する味を抽出するまでを全て1人で行い、ついに日本のチャンピオンに輝いた畠山さんは、一体どんなことを行ないながら日々を過ごしているのでしょうか。

インタビューは前編・後編の2回に渡ってお届けします。前編は、大会で優勝するまでのことを中心に。大きな後ろ盾もなく優勝ができたその背景にあったものや、優勝までのご自身のコーヒーとの向き合い方をお聞きしました。

—ジャパンブリュワーズカップ(JBrC)、ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ(JHDC)の2冠達成、おめでとうございます!でも本当は3冠狙っていたんですよね。

そうですね。カップテイスターズは取れなかったですね。(カップテイスターズの結果は3位)。

 

—2日間のうちに3大会が開催されましたが、大会は1つ出るだけでも精神的に緊張するのに、スケジュールがタイトな中で3つも出るって、どうやったら可能なんですか?

ひとつできれば全部できる、って僕は考えているんです。だって扱ってるのは全部コーヒーですから、テイスティングするのも、美味しいコーヒー淹れるのも、やっていることはあまり変わらないです。そのためだけにスキルを高めるとは思っていない。でも競技会ってなると、ひとつひとつの集中力を上げていかなければならないので、その部分だけはまだ課題が残りますね。

 

—それにしても、3つを狙うってどうやって始めるんですか?

実は特別な練習とかはしないです。もともと美味しいコーヒーを抽出するための技術は日々磨いているものなので、それにフォーカスして何かしなきゃいけないかといえばそうではない。ただ、大会に勝つための準備は必要です。

 

—ということは、日常の抽出作業と、大会の準備はそれほどかけ離れたものではないんですね。

かなり近い。むしろ近くなきゃいけない。

 

—でも畠山さんて、普段お店に立ってないじゃないですか。美味しいコーヒーって普段、誰のために淹れているんですか?

自分のために、自分が美味しいコーヒーを飲みたいがために追求してますよね。

 

 

—畠山さんにとって美味しいコーヒーって?

ブラックコーヒーというカテゴリーに絞っていえば、嫌な味を出さずに豆の本来の味をちゃんと抽出したコーヒーです。 焙煎でも抽出でも、無理して豆の良い部分をより引き出すことはできるんですけど、それって同時に嫌な味まで出てしまいがちで、それは僕が意図する美味しいコーヒ—ではない。嫌な味が出ない範囲で、適正なポイントで抽出してあげることが、やっぱり豆のポテンシャルを最大限に引き出せるということなんだろう、と僕は思っています。

 

—適正範囲を知ったり、嫌な味を見つけたりするところには、どうやって辿り着いたんですか?

いろんな人と一緒にコーヒー飲んだり、セミナー行ったり、そういうことですかね。それで徐々にわかってくる。

 

—ところで、畠山さんが美味しいコーヒーを初めて飲んだのはいつですか?

自分が理想とするコーヒーにあったことはまだないかもしれない。完璧だって思えるコーヒーはないかもしれない。

 

—完璧なコーヒーはご自身の中にはもうあるんですか?

明確ではないですけど、まずはクリーンであって、明確に味を感じらえて、質感が凄く良くて、凄く甘くて、凄くフルーティ。フレーバーも複雑で、バランスが良くて、アフターテイストが長い。それを全部満たしてるコーヒーは少ないです。

 

—では、ないにしても、理想に近かったものに出会ったことはあります?

難しいですね。世界大会に使われるような特別仕様のコーヒーを初めて飲んだっていう意味でもありますが、初めのインパクトで凄いと思ったのは、粕谷哲さん(ワールドブリュワーズカップ2016優勝)の世界大会で使ったナインティプラスのシルビア。 でも今思えば、完璧ではなかった。毎年コーヒーの味が進化していくに連れて、美味しいのレベルは上がっていくし、あの時よりは僕も成長しているので。

 

—畠山さんは、2017年にブリュワーズカップで3位、カップテイスターズで2位になっていますが、その時も優勝を狙っていたんですか?

全然です。 他の業種で働きながら、ぽっと優勝できるような業界じゃないだろうし、まさかこの実力で優勝はできないだろうとは思っていました。その時はまだ、セミファイナルがあったので、ファイナルいけたらいいな、くらいでした。でも無理だと思っていたら、実力以上のものが出て結果3位になった。それで天狗になって、翌年は予選落ちして決勝行けなかったんです。

 

—翌年に決勝行けなかった時はどういう心境でした?

やっぱりな、って感じでした。2017年の感じでやっておけば、上位に行けちゃうかもしれないなって鷹をくくっていました。本気で大会に向けてやってきたわけじゃないのに3位になれたっていうおごりがあったんです。 それで、改まりました。

 

 

—どこが一番改まりました?

コーヒーとの向き合い方が真面目になりましたよね。今までは、多少自分が思い描く美味しいコーヒーじゃなかったとしても、「こんなもんかな、自分が出してるのがこれくらいだったら結構イイ線いっているんじゃないかな」って思ったんですけど、「そうじゃない、ちゃんとコーヒーに向き合ってもっと美味しくできる」っていう感じで追求して行ったっていうのがありましたね。

 

—それで、向き合い始めて、今回こういう結果になったんですね。

でも運もあります。1位って運なんですよ。みんな一生懸命やってるし、美味しいコーヒーみんな出せるんですけど、その時に何か持ってる人が1位をとっただけ。今年は僕が何かを持っていたんでしょうね。神様とか女神様がいたとしたら、僕に微笑んでくれていたって感じで、本当にたまたまだなって思います。

 

 

—世界大会が待ってますが、それに向けて何か始めていますか?

今は、過去のチャンピオンの動画を擦り切れるほど観てます。そうすると毎回何かしらの発見がありますね。特に英語ができないので、一回じゃ全部聞き取れないけど、何度も聞いていくと言ってることがわかってきたり、ワークフローでもここでこんなことやってたんだって発見があります。英語は勉強しなければって感じです。あとは、大会で使われるコーヒー豆は特別で高級なものばかりなので、原料の調達がなかなか難しいです。ここからは、ひとつひとつの判断が世界大会の結果に大きく影響してくると思います。

 

—豆は最終的に何を使うか、どうやって決めるんですか?

直感。でも、数ある候補の中から選ぶ環境にあるっていうのは重要ですよねぇ。

 

 

—世界大会優勝ももちろんですが、これから実現したい夢を教えてください。

どこに行っても美味しいコーヒーが飲める環境にしたい。コーヒー専門店じゃなかったとしても、そこで出てくるコーヒーが一定の水準以上な世の中にしたい。今、ちょっと郊外に行ったりすると、すぐにコーヒー難民になるけど、そういうことがない未来にしたいです。でもまずは、自分のコーヒーを美味しく飲んでくれる人をもっと増やしていきたいですね。

 

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人当たりが良く、非常に理知的で冷静。ご自身のことを良く理解して、目の前の現実に向き合う力の強い方だという印象を受けたインタビューでした。

現在は、来年5月にオーストラリア・メルボルンで行われるワールドブリュワーズカップ2020に日本代表として出場するための準備にすでに入っているそうです。

次回インタビュー後半は、コーヒーに出会うまでの半生や、コーヒーの上達に大切なことなどをお聞きしました。そちらもお楽しみに!

畠山さんの焙煎豆を購入したい方は、Bespoke Coffee Roastersへ→公式オンラインショップサイト

 

Interview & Text: Kaya Takatsuna / Photo: Atsuko Tanaka

撮影協力:WOODBERRY COFFEE ROASTERS SHIBUYA

プロフィール

畠山大輝 Daiki HATAKEYAMA 

埼玉県春日部市出身。Bespoke Coffee Roasters焙煎士。人材派遣会社で過酷な労働を経験したのちニートに。
ある日、親に頼まれたコーヒー豆を買いに訪れたコーヒーショップでコーヒーに興味を持ち、ハンドドリップ教室を受けたことがきっかけでコーヒーの世界へのめり込む。
2017年ジャパンブリュワーズカップ3位、カップテイスターズ2位に。翌年の予選落ちを経て、2019年は同競技会で優勝し、史上初の2冠に輝いた。趣味は靴磨き。

【イベント情報 】

第2回・第3回川越コーヒー大学

会場:ウェスタ川越

開催時間:第2回10月27日(日)・第3回11月10日(日)

コーヒーと日常

会場:深谷城址公園

開催時間:11月2日(土)

ロータス昼庭マルシェ at 高応寺

会場:高応寺

開催時間:11月4日(祝)

川越コーヒーフェスティバル

会場:蓮馨寺
https://kawagoecoffee.com/

開催時間:11月30日(土)・12月1日(日)

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